カポヴィッラ

湯煎式蒸留器によるグラッパ造りの名手。

 オーナーのヴィットリオ・カポヴィッラ氏は、蒸留酒の造り手であるだけではなく、果物の造り手でもある。彼はもともと、ワインの醸造機械関係の仕事をしていた。オーストリア、ドイツなどを回っていた頃、現地の小さな蒸留所を訪問していくうち、彼の蒸留の対する情熱はしだいに高まっていき、1986年についに珍しい「湯煎」式の蒸留器を完成させた。
 2回蒸留を行うことで、一番大切である、デリケートなフルーツのアロマを引き出すことに成功。果物が完熟して、その個性が一番出る時期にのみ収穫することを最も重要とし、完熟した果物を圧搾して、何も加えることなく自然のままで発酵。酵母は、果物自身が持っている自然のものを使い、蒸留には自然の純粋なマザーウォーターを使用。湯煎は100度を僅かに越えない温度で行う。それより高い温度で蒸留すると、早くそしてコストを抑えることが出来るのだが、彼にとって一番大切な果物のアロマが蒸留と同時に気化してしまい、理想とするブランデーを造ることは出来ないため。さらに2回目は冷めてから、100度より低い温度でじっくり再蒸留させている。厳格に管理された自家栽培果物や、契約農家から買い付ける最高級の品種のみを使用しており、品質に満足がいかなければ、その年の蒸留を行わないほどの徹底ぶりである。