ウイスキーとスコッチの違いは何?スコッチの特徴を詳しく解説
そもそもウイスキーとは?
ウイスキーは発酵させた穀物を原料とした蒸留酒で、一般的には蒸留後木製の樽の中で熟成されます。ウイスキーは生産地や製法によってジャンルが分かれ代表的なウイスキーとしてはスコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、バーボンウイスキー、ジャパニーズウイスキーなどがあります。
産地以外に大きな違いとなるのが原料となる穀物の種類です。例えばスコッチウイスキーは大麦、バーボンウイスキーはトウモロコシ、ライウイスキーはライ麦が主な原料となります。
スコッチとは何か?
それではウイスキーの中でも最も有名と言って過言ではない「スコッチ」を深掘りしてみましょう。
「スコッチ」はその名の通りスコットランドで作られるウイスキー。製法において以下の規定(レギュレーション)に準じなければなりません。(The Scotch Whisky Regulation 20093))
スコッチの基本的条件
- (グレーンが加えられる場合も含め)モルトと水から作られ、スコットランドの蒸留所で蒸留されたもの。
- 粉砕したモルトやグレーン(mash)+水(お湯) → 麦汁(wort) → もろみ (ウォッシュwash) → 蒸留 といった製造過程がスコットランドの蒸留所において行われること。
- 700リットルを超えないオーク樽での熟成させること。
- スコットランド内の許可された場所で3年以上樽熟成されていること。
- 水と無味カラメル着色料以外は何も足されていないこと。
- ボトルで販売されるものとしてアルコール濃度が40%以上であること。
- スコットランド内でボトリングされること。
蒸留回数についての規定は特にありませんが、一般的にスコッチは2回蒸留されます。1回目の蒸留ではアルコール度数20%程度のローワインと呼ばれるものができ、それを再度蒸留しアルコール度数70~80%程度の本留液(ニューポットもしくはニューメイクと呼ばれる)が「原酒」として取り出され樽熟成へと進みます。
3年という期間はあくまでも最低熟成期間なので、10年や15年もの、18年ものなど、さらに長い期間熟成されたスコッチが販売されています。
ここで紹介した規定はあくまでもスコッチを定義する大まかなものです。スコッチにはさまざまな種類があり、最終的には、それぞれまったく異なる味に仕上がりになります。
スコッチの種類
スコッチの中にもその製法や生産場所によってカテゴリが分かれています。まずは製法の違いから分類してみましょう。
シングルモルト
単一の蒸留所で製造されたモルトウイスキーのことを指します。スコッチは、同じ蒸留所で製造されている限り、製造年や樽が異なるウイスキーをブレンドした場合でもシングルモルトと称することができます。
ブレンデッドモルト
ブレンデッドモルトは、複数の蒸溜所の異なるシングルモルトをブレンドしたウイスキーのことです。あくまでもモルトが主なのでグレーンなど他の原料が含まれているわけではありません。
シングルグレーン
シングルモルトと同様、シングルグレーンスコッチは単一の蒸留所で製造されるグレーンウイスキーを指します。シングルモルトとシングルグレーンの最大の違いは原料の違いです。シングルグレーンは大麦麦芽だけで造る必要がなく、小麦、トウモロコシ、ライ麦などの穀物を、一つ以上使って造られます。シングルグレーンのスコッチは連続式蒸留機で度数を高めるためライトでまろやかで甘みが強いのが特徴です。
シングルモルトとシングルグレーンのもう一つの違いは、シングルグレーンの方が安価で大量に製造できる点です。そのため、シングルグレーンはおもにブレンデッドスコッチ(後述)を造るために使用されることが多いのも特徴です。
ブレンデッドグレーン
複数の蒸留所のシングルグレーンをブレンドしたもの、マイルドで軽い味わいが特徴です。
ブレンデッドスコッチ
異なる蒸留所で製造された一つ以上のシングルモルトと一つ以上のシングルグレーンをブレンドしている。一番広く包括的で最も流通しているスコッチの種類です。
スコッチ シングルモルトの生産域
スコッチが製造される地域は主に6に分かれており、それぞれに独自の特徴があります。産地によって違った風味が堪能できるのもスコッチの楽しみの一つですね。
スペイサイド
スコットランドのウイスキー蒸留所の半分以上である50以上の蒸留所が集まるスコッチ製造の中心地スペイサイド。
このエリアのウイスキーは「フローラル」「フルーティー」「クセや臭みがない」「スムースな飲み心地」といった特徴でウイスキー入門者にもおすすめできる親しみやすい味わいが特徴です。
おすすめのスペイサイドウイスキー
ハートブラザーズはスコットランドの全土から最高級のスコッチウイスキーを調達し、瓶詰めするスペシャリストです。このグレンファークラスはミルクチョコレート、大麦麦芽、わずかにハーブスパイスが感じられ、味わいは柑橘類の香りを伴う甘い穀物、さらにハーブの風味が強く感じられ、豊潤なバニラフレーバーが後に続きます。フィニッシュにはミディアムボディのしっかりとした余韻が特徴です。
ハイランド
スコッチの生産区分として最大の面積を誇るのがこのハイランド。多種多様なフレーバーを持つシングルモルトが多く造られ、軽くてフルーティーなものから力強くピーティー(泥炭を燃やすことで生じる独特の薫香)なもの、塩味があり海を感じるものなど、様々な特徴をもったスコッチを楽しむことができます。
おすすめのハイランドウイスキー
2016年にウルフバーンの定番アイテム第1弾としてリリースしたノースランド。熟成にはアイラ産のセカンドフィル・クオーターカスクを使用した味わいには、微かに樽由来のピートのニュアンスとともに果実とモルティな香りが重なり合うバランスのとれたウイスキーです。
初のピーテッド・モルトを使用した、ウルフバーン蒸留所オフィシャル第3弾となるシングルモルト「MORVEN」。やわらかいピート香が広がり、レモン、ハチミツ、熟したリンゴを感じることができます。ミディアムボディでオイリー。シロップの甘さ、心地よいピート香が広がり、ほのかにスパイシーでバランスがよいスコッチです。
アイラ
最も特徴的なスコッチが作られるアイラ島。アイラウイスキーの特徴といえば「ピート」由来のスモーキーさ。ピートとは「泥炭」の事で、野草や水生植物などが炭化したものです。そのピートをウイスキーの原料である大麦麦芽を乾燥させる際に燃料として使います。大麦麦芽にピートの香りが強く染み込み、その風味がウイスキーに色濃く反映され、他のスコッチには無いスモーキーなウイスキーが誕生します。
おすすめのアイラウイスキー
香り立つ薫香。ソーダで割っても、いささかもブレない芯のあるウイスキー。日本人にもっとも馴染みのある飲み方がハイボールだとしたら、そのためのウイスキーは何があるだろう。この素朴な疑問に、弊社では「アイラ・ハイボール」という一つの解答をご用意いたしました。何よりも香りが重要と考え、アイラ産のシングルモルトウイスキーを厳選。キリリとした飲み口にこだわって、50度でボトリング。薫かおる故に「燻酒」。このスモーキー・フレーバーは病み付き必至。クセになります。他のどこにもないその個性。尖ったハイボーラーのためのウイスキー。この日、ハイボールの歴史が変わります。
アイランズ
「アイランズ」とは上記のアイラ島を除くスコットランドの島々のことで、アイランズモルトとはオークニー諸島、スカイ島、マル島、ジュラ島、アラン島、ハリス島などの島々にある蒸留所で造られるシングルモルトを指します。スカイ島の「タリスカー」のように荒々しく強烈な煙臭をもつものもあれば、オークニー島の「ハイランドパーク」のようにシルキーな口当たりのシングルモルトがあったりと、どれもはっきりとした個性があります。
おすすめのアイランズウイスキー
『ザ・ヒーラック』は、スコットランドの最北西の海岸沖に位置する小さな島、ハリス島で作られた最初の歴史あるシングルモルトウイスキーです。人々と場所とが互いに尊重し合い、複雑さと個性の精神を生み出すため、成熟した会話の結果によって生み出されました。
香り立ちはライトピート、マチャイア(アウターヘブリディーズ諸島に咲く草原)のような素晴らしい香り。味わいは焼きたてのフルーツケーキ、ジンジャーローフ、温かみのあるスパイシーさ、鍋で煮ながら焦がしたキャラメルなどを感じることができます。フィニッシュにはピートが再び香り立ち、リンゴのような甘さも感じられる。軽みがあってエレガント。丁寧に重ねた香りの層の変化を感じられます。
ローランド
ローランドはよりソフトでクリア、口あたりの優しいウイスキーが特徴的です。ブレンデッドウイスキーの原料となるグレーンウイスキー蒸留所はローランドに集中しているのも特徴です。
おすすめのローランドウイスキー
ザ クライドサイド 2018 5年 FOR スリーリバーズ 20th アニバーサリー
クライドサイド蒸留所は「AD ラトレー社」のオーナが2017年に創設した全く新しい蒸留所です。原料となる大麦は全てローランド地方の契約農家から調達、発酵には約72時間をかけます。ローランド地方に属しますが2回蒸留で、熟成には高品質のファーストフィルバーボン樽をメインに、シェリー樽やリチャーしたバーボン樽を使用しています。
キャンベルタウン
最盛期には34ヶ所の蒸留所があり世界のウイスキーの中心地だったキャンペルタウン。現在はごく少数の蒸留所が稼働しており少数精鋭な生産エリアです。この地域のスコッチは、海岸沿いのためか海のような独特の塩気にくわえ、スパイシーさ、リッチな香味が特徴です。