ジュニパーベリーとは何か?ジンの風味に必要不可欠なボタニカルの秘密

ジンを作る際には、ボタニカルと言われる様々な原料を使用して香り付けを行います。香り付けに重要なボタニカルの1つがジュニパーベリーです。

ジンの製造において「ジュニパーベリーで風味付けをした蒸留酒」という条件を守れば、他の素材(ボタニカル)については農業由来のものであればほぼ制約はありません。逆にいうとジュニパーベリーを使っていないとジンと呼ぶことができません。

そんなジンにとって必要不可欠なジュニパーベリーを深掘りしていきましょう。

ジュニパーベリーとは?

ジュニパーベリー

※画像出典:LIQUL https://liqul.com/entry/4474

「ジュニパーベリー」は、欧州や北米など北半球の広い範囲に分布するヒノキ科の針葉樹「ジュニパー」の果実(球果)です。

ジュニパーは苗木から成木になるまで3〜4年かかります。その実「ジュニパーベリー」が採れるようになるまでにはさらに2〜3年の月日がかかるとされています。成熟したジュニパーベリーの色合いはブルーベリーに似た深い紫色。ジンに独特の香りを与えるボタニカルとして知られています。

ジュニパーベリーの別名は杜松(ねず)の実

ジュニパーの学名は「Juniperus communis(ジュニペラス・コミュニス)」です。日本の近縁種としては「杜松(ねず)」といい、ジュニパーは「西洋杜松(セイヨウネズ)」、その球果であるジュニパーベリーは「杜松(ネズ)の実」と呼ばれています。

名前にベリーと入っていているのでブルーベリーと似たような果実と思われがちですが、実際はベリーの仲間では無く、どちらかというとスパイスとして分類されます。皮にはほんのり甘みがあり、噛むと心地よい苦みとほんのりとした柑橘の爽やかさがあります。余韻には胡椒のようなスパイシ感がもたらされます。ベリーと聞いてイメージするような甘酸っぱさはほぼないと考えてよいでしょう。

ジュニパーベリーの用途

ジュニパーベリーはジンの風味づけ以外にもさまざまな用途で広く使われています。

ハーブティー

ジュニパーベリーの代表的な用途であるハーブティー。実を軽く潰してお湯に浸し数分たつとジュニパーの香味成分が溶け出し、ウッディでほのかに甘く、スッキリとした風味をたのしめます。

料理スパイス

ジュニパーベリーの強い香りは肉の臭み消し昔から使われてきました。ハムやパテ、肉料理、ジビエ料理のクセが強い肉料理の中和素材として役立ちます。

アロマオイル(エッセンシャルオイル、精油)

ジュニパーベリーから抽出した精油(エッセンシャルオイル)は、気持ちをリラックスさせてくれるアロマとして多く使用されています。ディフューザーで空中に香りを漂わせたりボディトリートメントや半身浴にも用いられたりもます。

他にも薬効酒として使用されていたジュニパーベリーの効能は、血糖値を下げたり利尿作用があると言われています。

ジュニパーベリーとジン

ジュパーベリーとジンの関係を知るにあたり、まずはジンの基本的な製法をおさらいしましょう。

ジンの基本的な製造方法をおさらい

まずはジンの基本的な製法をおさらいです。

ジンは小麦やトウモロコシなどの原料を糖化・発酵させて蒸溜して造ったベーススピリッツに、ジュニパーベリーをはじめとしたボタニカル(ハーブ、スパイス、果実、樹皮、根、花など)の風味を加えて再蒸溜したお酒です。

風味のつけ方にはおもに2通りあり、ひとつはベースとなるスピリッツにボタニカルを浸漬し、それを蒸溜する方法(浸透法)。もうひとつはポットスチルのラインアーム部に金属製のバスケットを設置し、その中にボタニカルを詰め、立ちのぼるスピリッツの蒸気で香味成分を抽出・付加する方法です(バスケット法)。

ジュニパーベリーはジンに必要不可欠なボタニカル

先述したようにジンを名乗るにはジュパーベリーで風味付けされていることが必要不可欠です。ジュニパーベリーを使っていないとジンと呼ぶことができません。

これはEU内で定められているジンの定義で、日本の酒税法では、ジンはウォッカやテキーラ、ラムなど同じ「スピリッツ」に分類されるお酒で、ジンそのものについての規定はとくにありません。しかしながら国産のジンであってもジンの大元となっているEUの規定に従ってジュニパーベリーを使うことは共通認識としてあります。

なお、ジンの種類に関してはその製法や規定により「ジン」「蒸溜ジン」「ロンドン(ドライ)ジン」の3つに分けられます。それぞれの違いについては下記記事にて紹介しておりますのでご参照下さい。

参考記事
ジンの基礎知識:ジンの定義と製法やボタニカルの種類

ジンに使われるさまざまなボタニカル

ジンにとってジュニパーベリーはなくてはならないものですが、ジュニパーベリー以外のボタニカルも豊富です。
種子や木の根のスパイス、ハーブ、レモンやオレンジなどの柑橘類の皮を乾燥させたものなど、何百種類ものボタニカルが使用されています。ボタニカルの種類には特に制限はなく、昨今ではメーカーにより様々な個性的なボタニカルが使用されています。代表的なボタニカルとしてはレモンピール、オレンジピール、アンジェリカ、コリアンダーシード、カルダモン、オリス、ジンジャー、リコリス、シナモンなどがあります。

ジュニパーベリーの個性を感じられるおすすめジン

それではsaketryがおすすめするジュニパーベリー主体のジンを紹介します。

アイル・オブ ハリスジン

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キーボタニカルに昆布を使った「スコティッシュNo1ジン」。
アイル・オブ・ハリス蒸溜所は2015年にスコットランド織物の名産品「ハリス・ツイード」として世界的に知られているハリス島に地域活性ために「ソーシャル・ディスティラリー」として蒸溜所を設立。
キーボタニカルに「昆布」を使用し、世界のコンペティションで金賞など高い評価を受けたスコティッシュNo.1のクラフトジンです。使われているボタニカルは全部で9種類となっており、ジュニパーベリー、コリアンダー、アンジェリカ・ルート、オリス・ルート、クベバ・ペッパー、ビター・オレンジピール、リコリス、シナモン、そしてこれらを島のダイバーたちが手作業で収穫したシュガーケルプがアイル・オブ・ハリスジンに独自性をもたらし、そして特徴づけています。

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コッツウォルズ ドライジン

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英国本場のクラフトの伝統を体現し贅沢にボタニカルを使った「プレミアムジン」。
コッツウォルズ・ドライジンには、選び抜かれた9つのボタニカルが見事にブレンドされています。最高に芳醇で、香り豊かなスピリッツを製造するため、蒸溜ごとにこれらのボタニカルを10kg強(通常のプレミアムロンドンドライジンの約10倍もの量)を使用しています。
純粋なウィート(小麦)スピリッツにジュニパー、コリアンダー、アンジェリカ・ルートを12時間浸漬させます。こうすることで、ひねりのきいた独自の「ロンドンドライスタイル」を確立しています。
浸漬後、これらフレーバーが十分に抽出されたスピリッツに、コッツウォルズラベンダー、ベイリーフ、新鮮なグレープフルーツとライムの皮、黒コショウの実、カルダモンの種を加えて、特注のアーノルド・ホルスタイン社製のポットスチル(単式蒸溜器)で蒸溜します。

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ジークフリート ドライ・ジン

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ジークフリート ドライ・ジンはヨーロッパ、アメリカ、アジア、オーストラリアで数多くの金賞、ダブル金賞の栄誉を受け、≪World Spirits Award≫ では95.7ポイントを獲得した世界でも最高クラスに属するジンです。
ドイツの蒸留所で伝統的な手法で蒸留されるクラッシックなジンです。
ほのかでありながら、複雑な味わい、18種類のボタニカルが醸し出す魅力的なハーモニー、そしてそのストレートなキャラクターが世界中を魅了しています。

上品なビターオレンジのさわやかなタッチがタイム、カルダモン、ジュニパーの繊細なニュアンスに溶け合い複雑なハーモニーが生まれます。
味わいはラベンダーのフレッシュな、ジンジャーのスパイシーなタッチ。
アンジェリカ・ルートとペッパーがジュニパーベリーのアロマを強調し、上品で温かみのある善提樹の花のキャラクターがその味を美しくまとめます。

偽りのないハイグレードなジンを造りたい。このジンはそんな情熱から作り上げられた逸品です。ジークフリートは産業で使用される添加物や人工香料を一切使用することなく、選りすぐりの最高級の素材のみを使って、丁寧に、隅々のディテールにいたるまで愛情と手間をたっぷりとかけ、手作りで少量蒸留されています。

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